介護の仕事は「体力がないと厳しい」「高いコミュニケーションの能力が求められる」と思われがちです。でも、約14年間現場で働いてきて思うのは、向き不向きを分けるポイントは別のところにある、と感じています。
私が思う向いてない人は「体を動かすのが介護の仕事と勘違いしている人」です!
ある日リビングで利用者の見守りをしていたら、ベテランの職員に突然語気を荒らげて言われました。
「見守りはいいからトイレ介助に入って!!」
リビングでは、数名の利用者が車椅子に座ってテレビを観ていました。当時勤めていた施設は利用者のお部屋は個室になっていて、各部屋にはその方専用のトイレが完備されていました。その時、私以外の職員は全員、各個室のトイレでそれぞれの利用者のトイレ介助中でした。
私までトイレ介助に入ってしまうと、リビングで過ごしている利用者を見守る人員がいなくなります。一番経験の浅い私は「ここは見守りに徹しよう」と判断しました。その時にトイレ介助中の居室から、すごい剣幕で顔をのぞかせたベテラン職員から出たのが冒頭の言葉です。見守りをしている私のことを「サボっている」と思ったのでしょう。
しかし今思い返しても、当時の私の判断は間違っていなかったと思っています。
介護事故は、身体介助や食事介助中にばかり起こるものではありません。利用者が1人で立ち上がって転んだり、利用者が他の利用者に手をあげるかもしれません。何か口に入れて喉に詰まらせるかもしれません。何が起こるかわからないから、何が起こっても対応できるように見守りの役割が必要なのです。
体を動かして介助する職員も、体を動かさず見守りする職員も、どちらが欠けてもこの仕事は成立しません。しかし、「介護といえば、利用者に食事を食べさせたりお風呂の手伝いをしたり、体を動かすのが花形だよね」と思っている職員は、意外に少なくないと思います。
なぜ「体を動かすのが仕事」という勘違いが起こるのか?
それは「介護(サービス)をすることそのものが仕事の本質」と思っているからです。
「いやいや、介護サービスを提供するのが我々の仕事じゃないか!」
と反論がきそうですが、明確に否定したいと思います。
私が思う介護の仕事の本質は「介護サービスをとおして、利用者のQOL(生活の質)を維持・向上させること」だと考えています。
体を動かすことが仕事と思っているAさんと、利用者のQOL(生活の質)の維持、向上を目指すのが仕事だと思っているBさんの頭の中を見てみると、次のようになります。
Aさん:質の高い介護技術を提供することが私の仕事人としての価値だ!
Bさん:まだまだ未熟かもしれないけど、私の介助でこの人の生活が豊かになれば嬉しいな!
介護の仕事における「介助」はあくまでも手段だと捉えることが大切だと思います。
さいごに
しかしながら高い介護技術がないと、利用者のQOL(生活の質)を向上させるのが不可能というのもまた事実です。質の高い介護技術と仕事の本質を捉えたチームづくりが、介護の仕事にワクワクしながら取り組める秘訣だと思います。体を動かしていると仕事をやってる感がでるのは仕方がないですが、もし勘違いしている人がいたらチームメンバーのフォローも必要です。
もし今、現場で「自分はちゃんと仕事ができているかな」と不安になっている人がいたら、見守りも立派な仕事だということを、ぜひ思い出してほしいです。

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